今回は「凍結された銀行口座からお金を引き出す方法」について考えて見たいと思います。
亡くなられた方の銀行口座は、銀行が亡くなられた事実を知ることになると凍結され、お金を下ろすことが出来なくなります。
死亡届を役所に提出するとすぐに凍結されてしまうという情報がありますがこれは間違いです。
役所が銀行に連絡することはありません。
亡くなった事実を銀行がご遺族から直接聞いたり、新聞のお悔やみ欄で知り、遺族に確認することで口座の凍結をするのです。
何故、銀行は口座の凍結をするのでしょうか?理由は以下の2つです。
1.故人の相続財産を確定し保護するため
2.預金を引き出すことで起きる可能性のある相続人同志のトラブルを避けるため
銀行のATMなら暗証番号が分かれば本人確認無しで誰でも簡単に引き出すことが可能です。例えばご家族が故人の預金を他の相続人には知らせることなく引き出してしまった場合、相続人同士のトラブルになる可能性もあります。銀行としては、安易に故人の預貯金が引き出されてしまうと、他の相続人から抗議を受けることがあり、相続争いに巻き込まれないため故人の口座を凍結することになるのです。
では凍結された口座からお金を引き出す方法について見ていきましょう。
方法は2つあります。
1.相続手続きに則って解除する
2.仮払いの手続きをする(2019年7月の民法改正で可能に)
1の手続きには以下の書類が必要です。
・通帳、キャッシュカード、届出印
・故人の戸籍謄本(改製原戸籍)出生から死亡まで連続したもの
・故人の死亡診断書のコピー
・遺産分割協議書(相続人の実印を押印)
・相続人全員の戸籍謄本
・相続人全員の印鑑証明書
以前は1の手続きしか方法がなかったのですが、民法改正により2019年7月から限度額の範囲内であれば「仮払い」が認められるようになりました。
2の仮払いに必要書類は以下の通りです。
・通帳、キャッシュカード、届出印
・故人の戸籍謄本(改製原戸籍)出生から死亡まで連続したもの
・故人の死亡診断書のコピー
・相続人全員の戸籍謄本
・預金を引き出す方の印鑑証明書、本人確認書類
・葬儀の見積書または請求書
仮払いの限度額は以下の計算になります。
預金残高 × 1/3 × 1/相続人の数
上限は1口座当たり、150万円迄
仮払いとはいえ、正規の相続手続きとあまり変わらない書類の数と手間がかかります。
相続人の数が少なく(3人くらいまで)お近くに住んでいたり頻繁に行き来されている場合は、1の正規の相続手続きを取った方が良いかもしれません。
また2の手続きを取った場合や銀行に口座を凍結されないうちに預金の引き出しを何回かに分けてATMでした場合は注意が必要です。
口座の預金を引き出した段階で「単純相続」を選択したとみなされ、もし故人様に隠れた多額の借金が見つかり相続の放棄を希望してももうそれはできないことになるからです。
いずれにしましても、お元気なうちからエンディングノートをご活用いただきご家族間で財産に関することもできるだけ共有されておく事をおすすめいたします。
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