今回のテーマは、ご位牌や墓石に彫られている「享年」と「行年」についてです。
そもそも享年、行年とはどういう意味があるのでしょうか?
享年とは、天(仏様)から賜った年数のことです。享という漢字には受ける、受け入れるという意味があり、享年は故人がこの世に存在した年数を表しています。
享年とは本来年月を指す言葉なので、年齢の後に「歳」という字を記さず「享年〇〇」と数字で止めるケースが一般的でした。しかし、実際のところは『享年〇〇歳』とすることがほとんどです。「歳」をつけるか付けないか?ということについても、あまり厳密な決まりはないようです。
行年とは、何歳まで故人が存命していたかを表す言葉といわれています。
行年の行は、娑婆(私達が暮らす世間のこと)で修行をした年数、現世で存命した年数を表しているといわれています。
行年も享年と同じように、「歳」を記さずに数字で止める例もあれば、「行年〇〇歳」と記す場合もあります。
また、年齢を記す場合満年齢なのか?数え年なのか?という問題もあります。
日本には元々満年齢の考え方がありませんでしたので享年も行年も数え年で刻まれるのが一般的でした。数え年とは、生まれた時点で1歳とする考え方です。
年を取るのは誕生日ではなく元旦です。つまりほとんどの人は、正月が来れば一年を待たずに年齢を重ねることになります。この数え年の考え方は、仏教の教えから始まっています。
数え年は正確には母親の胎内に赤ちゃんが宿ったときから、年齢を数えています。
つまり赤ちゃんがおなかの中で成長する十月十日も年齢として数えて、生まれた瞬間に1歳を迎えると考えられているのです。
これに対して、現代の0歳から数える満年齢は、日本では比較的新しく取り入れられた年齢の数え方です。
明治時代には、年齢は出生日から起算するという法律も作られましたが、その後も長らく数え年で数える考え方が一般的でした。
1950年に「年齢のとなえ方に関する法律」施行され、国や地方公共団体などで年齢を言い表す時には満年齢が使用されるようになり今日を迎えております。
それでは、ご位牌や墓石へ表記する際には享年と行年のどちらを選べばいいのでしょうか?
これは実はどちらが正解ということはありません。
故人の年齢の表記に関しては、基本的にはそれぞれのお寺の『住職の考え方』によって違います。
ですから、同じ宗派や地域でも、お寺の墓地を見ていると享年と行年が混在しています。
もしご位牌や墓石への年齢の表記で享年と行年とで迷ったら、お付き合いのあるお寺の住職に確認をするようにすることをお勧めいたします。
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