今回のテーマは「生活保護を受けていた方の葬儀」です。
先日こんなお問い合わせをいただきました。
「家族を捨てて出て行った父親が孤独死しました。父は生活保護を受けていたので葬儀代は生活保護のお金から出るんですよね?」
ご相談者は娘さんでした。
これはいわゆる「生活保護葬」、「福祉葬」と呼ばれる葬儀のことです。
生活保護を受けていた方が亡くなった場合、一定の条件を満たした場合、葬祭扶助費が自治体から支給されその範囲で葬儀を行なうという制度です。
それではどういう条件を満たした場合に葬祭扶助費が支給されるのでしょうか?
それは次の2つの条件のいずれかを満たしている場合です。
1.喪主(扶養義務者)が生活保護受給者で葬儀費用を負担できない場合
2,故人様が生活保護受給者で身寄りがない場合
生活保護世帯の方が亡くなり、同居の親族が葬儀を行う場合は1の条件に当てはまります。
管轄の役所の福祉課や保険課が、故人や親族の収入、困窮状態を判断して支給額が決定されます。
亡くなった方に親族がいない、または親族が別居していて葬儀を行う意志がない場合は2となり、
親族以外の方の手によって葬儀が行われます。この場合、故人の遺品から費用を受け取れる可能性もあり、
支給額は不足分のみとなります。 支給額は自治体により多少差はありますが、大人206,000円以内、子供164,800円以内です。
今回のご相談の場合は、残念ながら2つの条件のいずれにも当てはまらず、葬祭扶助費を受け取ることができませんでした。
葬祭扶助費が支給されないケースとしては、次の3つが考えられます。
1.生活保護受給者であった故人に預貯金がある
2.親族に葬儀費用を支払える経済状況の人がいる
3.福祉担当のケースワーカーが最終的に支給不可と判断する
※ご相談者様のケースは上記2に該当します。
では「生活保護葬」はどういう形態で施行されるのでしょうか?
お金に困っている方のために自治体が葬祭扶助費を出すわけですから、通夜や告別式は行わず、「直葬」という火葬のみの形式で行われます。
また葬祭扶助費は必ず葬儀の前に申請を行う必要があります。火葬が終わった後に申請をしても支給されません。
申請者となれる方は、
・扶養義務者(故人の遺族)
・同居人
・家主、地主
・家屋または土地の管理人
・公設所(国公立病院など)の長
・後見人、保佐人、補助人
などです。
費用の精算は、葬儀社から福祉事務所へ請求書を送り、その内容が精査された上で福祉事務所から葬儀会社に対して支給が行なわれます。
生活保護葬については、今回のご相談者の方のように間違った認識をお持ちの場合があります。
支給されるための条件等を参考にしていただけましたら幸いです。
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